薬剤師・国際中医学専門員の佐田義尚氏が、「慢性的なかゆみの精神への影響」そして対処法についてわかりやすく解説していきます。

かゆみへの直接的な対応について

薬局に相談に来られた方、私自身の経験、さまざまな情報から、かゆみへの直接的な対応と、その是非を検討してみました。またかゆみとともに生活の質に大きく影響してくる膿(浸出液)についてもまとめてみました。

①保湿クリームを塗る

通常は潤っている方がかゆみは少ないものです。ただし熱をこもらせるような保湿剤だと、かゆみが増すこともあります。自分に合う保湿剤を選ぶ必要があります。また、一度合っていると思っていた保湿剤でも合わなくなる場合もありますので注意が必要です。

②自分でたたく、またはさする

たたくのはごく軽くにしておきましょう。軽いかゆみには対応出来る場合がありますが、長続きしないことが多いからです。特に顔面部は止めてください。さするのもシャツの上からなど効果的な場合もありますが、癖をつけておかないと掻いてしまいます。

③人にさすってもらう

これこそ本当の手当てかもしれませんが、意外と効果があります。人にさすってもらうと、軽くさするだけでかゆみが楽になることがよくあります。これは自分の手と違って、刺激を受ける場所や強さが予想できないためなのか、同じ強さの刺激でもかなりかゆみがまぎれます。

また、背中のように手が届きにくいところの場合にも良いでしょう。自分でさすると孫の手や定規などで引っ掻いてしまうからです。軽くたたいてもらうのもいいですが、たたきすぎると後でかゆくなることがあります。皮膚が丈夫になっているのなら、軽く揉むのも良い場合があります。

④冷やす

かゆい時は熱を持つことが多く、その熱を取ることでかゆみが治まります。やや強めのかゆみでも効果があります。

☆いろいろな冷やし方とその長所・短所

●冷房…手軽です。全身を冷やすので熱を持った箇所が多い時には有効です。逆に局所に強い熱を持っている時は単独では不十分です。特に急性期に多い、体に熱を持っていて、冷やすと楽になる場合には積極的に活用しても良いでしょう。また、夜の睡眠導入には良い場合があります。

●コールドスプレー…手軽で強力です。使いやすいものの効き目が短時間で、冷却力が強すぎるためか、効力がなくなってくると冷やす前より熱感が強くなる場合があります。急激なかゆみに対して別の冷却方法のつなぎには使えます。

●氷タオル…氷をタオルで巻いたもの。手軽で強力です。水を少し含ませてやると冷やす力が高まります。欠点はしばらくすると水が垂れてくることです。

●保冷剤(氷枕)…氷タオルの簡便型。就寝時、タオルに包んでかゆい部分や頭の下、胸の上に置くと、少々かゆい時にも眠ることができます。夜寝られない時など冷凍庫に保冷剤を2~3個用意しておいて、取り替えながら使うと良いでしょう。おすすめです。

●冷却シート…局所の熱を取る時に使いやすいものです。効きも早いし比較的持続します。かぶれる場合があるので注意が必要です。