「明日から仕事でしょう?」
夏休み最終日の朝、朝食を食べていると、母から聞かれた。
「うん。今日東京に帰るよ」
「そう。駅まで送っていこうか?」
「うん、お願い」
「何時頃に帰る?」
「2時くらいかな」
「お母さん、今日はずっと家にいるから帰る時に言ってね」
「分かった」
この1週間は本当にゆったりした時間を過ごすことができた。しんどくなったら時々実家に帰ってこよう。そして両親や地元の友だちと話をしよう。帰って来られなくても、早坂やほかの同期、先輩・後輩と話をしよう。
科が違ったり、遠く離れていても、一緒に頑張っている仲間がいる。応援してくれている両親がいる。それを実感できた夏休みだった。
「そろそろ出発しようと思うんだけどいい?」
「はいはい」
母の明るい声がベランダから聞こえてくる。体の疲れがとれ、心の平穏を少し取り戻せた僕は、気持ちを新たに明日からの研修を見据えた。