これからが夢を叶える時
警視庁本部と県警では明らかに仕事量やスピード感が違う。しかし、それを淡々と答えた賢一に思わず笑わずにはいられなかったからだ。
「県警本部長と私は同期なのは知っているね?」
「もちろんです」
「県警本部長から聞いた通りの働きだよ」
「いえいえ、買いかぶりすぎです。全ては、刑事部長のお力添えがあってこそですから」
刑事部長は、それを聞いて、また苦笑した。 賢一は、一年前に県警の刑事課から、警視庁本部の捜査第二課に配属されていた。 刑事部長の思惑......。
”日本でトップの国立大学法学部を首席で卒業した森下賢一、この男はただの秀才ではない。人を見抜く洞察力と直観力、そして長けた判断力......この男は必ず私の出世を後押しするだろう.....”