ヒップホップに導かれて渡ったアメリカで目にした、現実現代の「個」の在り方を問いかけるリアル・ストリート・エッセイを連載にてお届けします。
ハーレム・ルネサンス
Harlem Renaissance 2日目はフォトグラファーの友人とやって来た。彼女のボーイフレンドと息子2人も一緒だ。アーティストである彼らにとって、このHarlem Renaissance は興味深いものになるだろうと勧めたのだが、この規模の小ささと地味な演出には少々がっかりしているようだった。たとえ数ブロックのHoodイベントであっても、私はこの音とにおいと空気が好きだ。この土地に根付いた音楽や料理、培ってきた生活を歴史とともにハーレムの文化を愛し慈しむ。人々がとても誇り高く見え、この空間を少しでも共有できることが私にはとても嬉しく、光栄に思えるのだ。
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私は一人で鑑賞することになった。そのとき、一人の男性が声をかけてきた。
「キミ、昨日もここに来てただろ?」
「はい」
「キミはハーレム・ルネサンスを学びに来てるのか?」
「はい。 私は黒人たちの文化や歴史、あとヒップホップに興味を持っているので。いま学んでいるところなんです」
「そうか。2日間も来るんだから相当関心があるんだろうと思ってたんだ。キミ、 名前は? どこから来たのか?」
そう言うと、この男性は私の目の奥をじっと見つめた。
「Yumiです。日本から来ました」
すべてを見透かしてしまいそうな強い目だ。しかし、その瞳は目には見えない何かにやさしく覆われている。