著者・村瀬英晃氏と個性豊かな社会人で行っている勉強会、学生時代の恩師とのやりとりから生まれた自由な発想やアイデアで問題解決に繋げる水平思考について連載形式で紹介します。
中高年会社員の一つの選択肢「パラレルキャリア」
「ブレンドで 味わう珈琲 粋なもの 仕事も同じか パラレルキャリア」
「ディフェンスと オフェンス交えた ダブルワーク 働き方の リスク分散」
楠木新氏は、大手生命保険会社に勤務しつつ、執筆・講演活動を行う「複業生活」を貫いた異色の会社員。既に60歳で定年退職されたので、今は執筆・講演が本業の人である。
氏は自らの経験に基づいて「40歳を過ぎると心が揺れ始める。会社員人生の後半をどう生きるか。組織べったりでも、独立・起業でもない、第3の道があるはずだ」と主張する。(『「こころの定年」を乗り越えろ 40歳からの「複業」のススメ』(2015年 朝日新聞出版))
もっとも、「こころの定年」という文言は様々な捉え方が出来そうである。会社を辞めた後も「現役の時のこころ」を引きずり、頭の切り換えがなかなかできない重役に対する忠告といったニュアンスで受け止める人もおられるかもしれない。
楠木氏の場合は、誰もが直面するであろう、会社生活の中、40歳を過ぎ、「今やっていることが、誰の役に立っているかわからない」、「成長している実感が得られない」、「このまま時間が流れていっていいのだろうか?」という言葉に代表される、組織で働く意味に悩む状態を「こころの定年」と名付けて、その克服策を自分の経験も含めて書いている。
別の活動が本業にプラスの相乗効果を生むようなセルフブランディングをめざし、経済が停滞しても、防御しつつ攻撃もしていく生き方が求められている。(2017・4・22記)