京都府
酷暑無双 二〇一六年八月
【第一日目】北野天満宮界隈
寺務所の小母さんに参拝の公式ルールについて尋ねる。御堂を百周回る、いわゆる御百度参りをしてくれと、人ごとのように即答。実際、人ごとなのだが。
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一瞬、夫婦共に心臓が止まったのを見逃さなかった小母さん。すかさず、自分の数え歳の数だけ参っても可とフォローしてくれた。心臓の鼓動が再開する。満年齢ではダメですかと言いたいのをグッと堪える。
数百本の竹べらを置いているが、これを自分の歳の数だけ抜き取る。そして、一周回って参拝する度に、一本ずつ戻していく。これで、何周回ったのか正確にカウントできる寸法だ。
若ければ、面倒くさいとばかりに早々に退散したであろう。が、夫婦共に年を取り、女房も入院手術をする等、病気がちになっているので、これを良い機会にと挑戦してみることに。
しかし、三十七度を超える猛暑日に、御堂の周りをグルグル回り続けていたら、体が溶けてバターになるのではと心配になる。参拝途中で投げ出したくなり、ふと隣を見る。
汗まみれで、縋(すが)る様に祈る年配の女性から、切ないほどに健康への渇望が伝わってくる。回りの参拝者の姿に励ましをもらい、小一時間かけて参拝修了。
参拝で、丁度お腹も空いたので、昼食にする。西陣の鶏料理の老舗が、昼も営業しているので、そこへ寄ることに。京都独特の町家造りの店の二階に案内される。