第7話 鈴木アツシ二等技術兵の夢


アツシと涼子がどうにかTENCHIの甲羅の部分を開けると、2人が今まで見たこともない装置が満載されていた。液晶パネル、極小の部品、キラキラと煌めく金、銀の金属。

「うぉーーっ、夢のようだ。ぼくこんなの大好きなんですよ!」

アツシは宝物でも発見したかのようにそれらを見つめていた。

涼子は、また、別のことを考えていた。やはり、これを軍事利用すれば……それと、薄々感じていたが、アツシはかわいい弟のように感じると同時に、シマと同じく一種の天才だと思っていた。今までいろんな科学者、技術者と会ってきたがこの二人は違う。自分も学校始まって以来の秀才と言われていた。しかし、この二人は桁が違う、上には上がいるものだと。

「ハハ、アツシは、かなり変わっているからな」

涼子は気を取り直したように笑った。

「さっきは握手を求めて、本当にごめんなさい……。菊池一等兵にだけは言いますが、ぼく、本当は、自動車を作りたいんですよ。今よりずっと頑丈で安全で燃料をあまり使わない車を……」

バツの悪そうな顔をして、いがぐり頭をかきながらアツシは云った。

「海軍なのに戦闘機か軍艦ではないの?」

優しく問う涼子にアツシは神妙な顔をして応える。