「接し方がわからない」「予想外の反応に戸惑う」大人の発達障害に悩むのは本人だけじゃない。長年、医療福祉相談員として働いてきた著者が語る、ともに向き合い、仕事をしていくうえで必要なこと。本記事では、クリニックに訪れた人の声を紹介していきます。
発達障害の傾向に気づかない
発達障害の傾向があるが、本人には自覚がない場合があります。
【注目記事】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない
○相談事業所職員。
早くに仕上げないといけない書類があるのに、来談者が来ると率先して受け、いつまでも話している。書類はいつまでもでき上がらず、彼女の分ができないとほかのスタッフにも差し支える。しかし勤務年数が長いので、ほかのスタッフは注意しづらい。こんなことはしょっちゅうで、締め切りギリギリに残業をして作る、あるいは間に合わない。周りの人はうんざりしている。
○営業事務職員。
ひとつの案件の処理中、「これ、誰か頼めないかな」と課長が言うと「はい、わかりました」と受け、いくつも抱えなかなか処理できない。「みんな受けないからー、仕方ないでしょう」と、机の上は書類の山で、一体、どこに何があるのかわからない。
○小さな会社の事務職員。
事務用品の発注、管理もしているが、物品庫で探せないとすぐ発注する。コピー用紙やごみ袋、洗剤など、ほかの職員に言われてすぐ出せないと不安なので、そろえておきたい。物品庫はいつも物にあふれ、よくわからない状態になっている。