「接し方がわからない」「予想外の反応に戸惑う」大人の発達障害に悩むのは本人だけじゃない。長年、医療福祉相談員として働いてきた著者が語る、ともに向き合い、仕事をしていくうえで必要なこと。本記事では、クリニックに訪れた人の声を紹介していきます。

発達障害の傾向に気づく

○外国で仕事をしていて帰国、とりあえず派遣で大手企業に勤める。「この資料は捨ててもいいですか?」と社員に聞いたところ「シュレッダーかごは、コピー機の横です」と言われ、「そんなことは聞いてないのよ! これを捨ててもいいのか、YESかNOかを聞いているのよ!」と「ひどいでしょ、わけわからない会社だったのよ」と訴えます。

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彼女は自分の子育てに悩み、子育て支援センターを利用したところ発達障害だと言われ、自分にも同じように注意があちこちにいくことや片づけが苦手なことがあるなと思い、メンタルクリニックを受診したところADHDと言われました。

〔この人は発達障害と診断された人ですが、そこに至るまでのエピソードは、かなり状況判断ができない、雰囲気や暗黙のルールなどが理解できないことで、周りと衝突を繰り返してきたようです。注意の散漫や自分勝手な行動が状況判断の難しさと一緒になり、周りの人を疲れさせます。本人はあまり気づいていません。むしろ自分は悪くはないと思っています。ひょっとしたら、YES、NOのはっきりしている外国では問題にならないのかもしれません〕