「さあ……ちょっと困った人なのよね。かんじんなときに、なかなかつかまらなくてね」
むむ……そんな宦官もいるのか。宦官は、影が形に沿うように、主人のそば近くにはべっていなければならぬと教えられたが。
「そういえば、田閔(ティエンミン)にもたのんでおいたんだけど、あなた、天文にくわしい人を知ってるんでしょう? その人、宦官なの? それとも道士?」
「いや、僧侶だ。お経、天文、五行、日の吉凶、なんでもござれだ」
「ふーん、そんなにすごい人なんだ。ねえ、紹介してくれない?」
「なんでまた、天文などを」
「いいじゃない」