田畑さん
戻ってくると、あれっ、さっきまでここにいた、田畑さんがいない。どこかのベンチに座り直したのだろうか?あたりを見回してもその姿は見えなかった。きつねにつままれたとはこんな事だろうか。
ペットボトルのお茶が二本とお釣りの二十円だけが残った。それでも喉はカラカラでアッキーはその一本を、一気に飲み干してしまった。
田畑さんはアッキーママと友達で、『デイケア』っていうところも同じだと言っていた。そして診察を待っているってことは患者なのだろうか? 精神科の患者なのか? 何の病気なんだろう。アッキーママと同じように入院しているのだろうかとアッキーは思った。
けれど、どう見ても普通の人だった。どこから見ても、話してみても、普通の人だった。
ふと、アッキーママの事を考えた。
アッキーママだって普通の人じゃないか、なんでここに入院しているのだろうか。いや、入院させられているのか。いら立ちを感じ始めていた。そんな事を考えているところに田畑さんは再び現れた。
「ごめん、ごめん。診察に呼ばれてたんだ。急に居なくなって悪かったね、びっくりしただろう」
診察とはどんなのだろうか。