発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために

“「発達障がい」は治療ができない難病ではありません。具体的な向き合い方、どうすれば症状は良くなるのかといった筋道はあります。早期発見・早期介入が求められるのは、治療が早ければ早いほど症状に改善がみられるからです。”医療現場の実情、最新の診断・治療法を専門の小児科医が解説していきます。

音楽が自閉スペクトラム症を救う

音楽は我々の故郷であり、いのち輝く瞬間(とき)を共に過ごせる一つのツールなのです。

動物たち、特に鳥の鳴き声が音楽の発生であり楽器の源であるならば、診察室で鳥の鳴き声のような自然な音のCDを流せば心身に効果があるかもしれません。虫の音(ね)もいいかもしれません。昔の日本にはアイスクリーム売りのチャイム、豆腐売りのラッパ音、竿竹売りや石焼き芋屋の歌、風鈴売りの風鈴の音(ね)など生活に調和した自然に近い音があり、子どもの頃からさまざまな音によって味覚的聴覚的快楽に関係づけられていました(“Music Therapy" by Juliette Alvin)。

今はチリ紙交換屋の人工的な音だけが残りますが、住まいが遮音性になり、日本の風物詩の音も聞こえなくなりました。同時に鳥や虫の鳴き声も生活から失っています。

こういう環境で育っている今の子どもたちに現代はさらに人工的なゲーム音が襲いかかっています。子どもたちの音環境が危ないのです。小児科医はこれに気づき今こそ音楽療法士と連携すべきなのです。

発達障がいの子たちが不登校になる理由の一つとして「クラスがうるさい」からと、特に音過敏の子たちは言います。だから比較的静かな特別支援学級や保健室へ逃げ込むのです。