俳句・短歌 短歌 自由律 2020.12.26 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第22回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 ふらここや いくたび 青き 海に恋 遠ざかる 父の 風景 蛇泳ぐ 青大将 裏側 白き 別離あり
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『Ore Joe! 俺たちの青春』 【第2回】 本村 雅寛 夏、決まってお参りに来る爺さんにわけを聞く。「捨てられた分隊だったんですよ」と悔しい目で、仏壇の上にかけてある遺影を見た。 【前回の記事を読む】親父は何故「あしたのジョー」に魅せられたのだろう。ファイティングポーズをとった自分は何に見えるだろうか…日常の生活の中で、天井に貼ってあるジョーのポスターが、不思議と脳裏に表れてくる。あの眩しい、そして、神々しい白い世界が現れる。あれはいったいなんなんだ。リング一帯の風景が真っ白なんだ。そんな時、何かに立ち向かうように本能で、ヨシオは手を顔面に添えて、ガードをとる。ヨシオは、…