第四章 インドは一筋縄ではいかない
二、熱帯病の宝庫とエイズ
衛生面の問題から起こる下痢は当然として、インドにはマラリア・デング熱・アメーバー赤痢・モンスーン熱・破傷風など熱帯地域特有の病気が多い。そのためか国際熱帯医学・マラリア学会もよくインドで開催される。
インドでは統計資料も整備されていないが、ある資料では年間の死亡者数として、肺結核230万人、ハンセン氏病50万人、エイズ30~40万人、マラリア20~30万人などとなっている。筆者が勤務していた事務所はインド人が30名ほどだったが、毎年数名はマラリアに罹っていた。
留学生・旅行者を除き、日本人のコルカタ駐在員は家族を含め、4年半の間で延べ200名程度だが、知る限りでマラリア5名、アメーバー赤痢3名。モンスーン熱はほとんど全員が罹っていただろう。
モンスーン熱はウィルス性のもので、日本の風邪と同じ頻度で罹るが、40度近い高熱が続きへたをすると脱水症状になり入院・点滴となる。この症状も高熱だけの場合と、激しい頭痛・下痢を伴うものなどいろいろある。
筆者が罹ったのは高熱だけだったが、39度以上の熱が続き毎晩3~4回パジャマを着替えなければならなかった。日本から持参した風邪薬や解熱剤も効かないので、諦めて市内の病院でもらった薬を飲んだが、もらった錠剤はどぎつい黄色で大きさは日本の錠剤の倍以上、日本の、のど飴ほどもある。