「復旧」は厳格に運用されているので当然、震災前の構造、すなわち石で貯蔵庫を再建しなければならない。ところが、複数の建設会社に問い合わせてみたが、材料の入手も技術的にも元通りにするのはかなり難しいと言われ、石造りで再建すると膨大な費用がかかることがわかった。
そこでやむをえず、コンクリートブロックで再建することが承認された。これは例外中の例外で、施設の場合はグレードアップかどうかの判断に迷うケースはほとんどない。
「グレードアップ」という場合は普通は質的なもの、例えば性能の向上などを指すが、グループ補助金では量的なものも、例えば施設の建築面積が従前の面積を上回った場合などもグレードアップと呼んでいるようだ。グレードアップが問題になるのは、施設よりも設備である。
津波で流出してしまったトラックを復旧するケースについて考えてみよう。流出したトラックは3トン車だったが、今度は補助金で5トン車を購入したい。
これは明らかにグレードアップであるから不可。これはわかりやすい。
では、流出した10トントラック1台にかえて5トントラック2台にするというのはどうか。購入価格はどちらも同じとする。これも認められない。費用は同じであっても震災前は1台だったのが2台になることは認められないのだ。