薬でADHDは治療できる

二つの薬は効果にも差があります。アトモキセチンでは効果が出ず、メチルフェニデートが有効だった例もあれば、その逆もあり、両者の併用で初めて安定した例もあります。

アトモキセチンで治療する場合の効果や作用の長所は、24時間効果があることです。朝方や夕方にある暴力的、反抗的態度も収められます。寝つきも良くなり、朝の起床もスムーズになります。一方で、多動や興奮が目立ち、大声を出すようになることもあります。

メチルフェニデートで治療する場合の効果や作用の長所としては、即効性がありすぐに落ち着くことが挙げられます。落ち着くことによって、指示が入りやすくなり、トラブルも減ります。

短所としては、効果が強すぎるため体重のあまりない子どもによっては人格が変わったように静かになりすぎ、意欲などまで奪ってしまうことがあることです。また、夕方に効果が切れるため、宿題をやらなかったり、夜寝つきが悪くうるさくなったり、朝方乱暴で攻撃的になったりすることがあります。

メチルフェニデートとアトモキセチンまたはグアンファシン各々で効果が不十分、または短所が目立つ場合、両者の併用療法によりそれぞれの短所を相殺することで、良い結果が現れることもあります。

併用により、精神が安定し、なおかつ意欲も出るため、教えられたことに対する吸収力もアップすることがあるのです。

メチルフェニデートで効果が発揮できない朝夕の時間帯を、アトモキセチンやグアンファシンがカバーすることで24時間効力が保たれます。そしてメチルフェニデートによって日中の効果を増強することにより、生活をよりスムーズにすることも可能です。

短所としては、2種類の薬を使うことで費用がかかることです。医療福祉費支給制度(マル福)や自立支援費の制度といった国や自治体からの援助を利用できる限り使い、対処するのが良いでしょう。