第2章 補助金の論理
2 補助金の必要性、正当性
補助金Bの正当性
補助金は必要であり、当分なくならないことはわかった。それでも、補助金の支出に対する疑問が払拭されてはいない。
それはおそらく、必要性の度合いの問題なのだ。理念としての補助金の必要性については理解できるが、個々の補助金については、これは本当に必要なのだろうかと思わされるものがあることは否定できない。
「受益者負担の原則」という言葉をよく聞く。さきほどの公共料金の例で考えてみよう。
ある地域の水道事業に対して、水道料金の収入だけでは維持・管理が困難なため、一般財源から補助金が支出されたとする。このことは、財源が税金であるから水道事業の維持のために納税者が等しく負担したことになる。
しかし、納税者の水道利用の量は当然だが同じではない。少ししか水を使わない人がいれば、大量に水を使う人もいる。にもかかわらず、同じように負担するのは受益者負担の原則に反する、と主張することはできる。ただし、水道のような公共財については受益者負担の原則は排除される、というのが経済学者の考え方である。