第2章 社会
住民の目線
上から見ると遠くまで見渡せ、全体像を把握することができるものです。そんな風に思っていました、しかし必ずしもそうではないようです。
化石医師は趣味の渓流釣りで渓谷へ出かけます。釣りのポイントを探していると下りることをためらうような急斜面によく出会います。でもそんな斜面でも下から見ると上り道のシミュレーションが出来、何とか登ることができるものです。この場合は下からの目線の方が有用です。
医師不足、赤字経営を理由に坂下病院の入院機能を廃止し診療所化しようという市の方針が出てきました。国の地域医療構想の中でコンサルタントにも相談した結果だとの行政の話です。化石医師はひねくれ者です。
この手の話はあまり信用しません。現地を訪れ医療関係者や地域の方々から話を聞く。あるいは自身が患者さんとして経験してみる。そのような結果から地域に必要な医療はどうあるべきか考える。その上で必要な医師の確保の方法や経営のやり方について助言する。それが本当のコンサルタントであろうと思います。
医師が少ないから診療所にする。経営が赤字だから規模を縮小し人員を整理する。こんなことは誰でも考えることであり高いお金を払って教えて貰うことではありません。とかく行政は自分達に都合の良いことを言ってくれるコンサルタントを選ぶものです。
一番大切なことは地域に必要な医療は何であるかを明らかにしそれを守るためには何をするべきか、守るための上り道を探し出すことなのです。
当地で開かれた住民説明会は夜間にも拘わらず600名以上が集まり会場に入りきれない程でした。行政の説明に対し多くの方から「私達に死ねと言うのか」をはじめ、怒りの発言が多くありました。こうした住民の方の反応は当地域ばかりではありません。