教室
次の日、アッキーは教室でひまりを探した。そして、ひまりを見つけると誰にもわからないように近づいて、「おはよ」と、声をかけるとトイレに飛び込んだ。
誰もいない事を確認すると、鏡に向かってガッツポーズをとった。顔はもうニヤニヤしてだらしない。たった今、ひまりのキョトンとした顔を思い出して、鏡に顔を近づけてアッキーは、『にたぁ~』としていた。昨日の印象とは少し違っていたが、ひまりはひまりだった。
すると誰かがトイレに入って来た。アッキーは普段のいつもの顔になろうと頬を両手で叩いたが、だんだんと頭から熱くなってきてしまった。おでこを触ると少し熱があるようにも思える。
そして、教室に戻ったアッキーは一番後ろの廊下側の自分の席につき、窓際の一番前のひまりの席の方向に目をやるが、ひまりの背中も見えなかった。何だかわからないが、ひまりの事が気になって仕方がないアッキーだった。
アッキーとひまりが通っている学校は通称『ひがやち』と呼ばれていた。入学式はこの間終わったばかりで、今までとはまるで違う別世界にアッキーは戸惑っていた。