第5章 社会人に求められる能力とは

ロジカルシンキングを学ぶ

思考力の中のひとつの要素、課題発見力を高めるためにはロジカルシンキングの手法を身につける必要があります。

「ロジカルシンキング」と聞くと、ビジネススクールで学ぶような難解なものというイメージがありますが、そんなことはありません。誰でも理解できることです。

課題の存在が明らかになれば、次は原因を究明しなければなりません。原因を探そうとすれば誰でも何かしらに思い当たるものです。

その原因が全て自分にあるかのように思いがちですが、原因は複数存在します。そして数ある原因にはそれぞれに解決法が存在するのです。

せっかく対策を講じたのに効果が上がらないようでは意味がありません。再び課題が出てくるようでは時間とコストを無駄にしていることになってしまいます。

そうしたことを防ぐのがロジカルシンキングです。これは、身につければ活用性の高い手法です。

例えば、移動販売で野菜を売っているとしましょう。以前は順調に売上を伸ばしていたのに、ある月、前月比で売上が急に落ち込みました。売上減少という課題に対して対策を講じなければなりません。

対策会議を行いそれぞれが思い当たることを掘り起こします。「最近、どうも客足が減った」と誰かが発言し、「私もそう感じています」と同調の声が上がったとします。そこで責任者が、「では、どのようにしたら客足が戻るか考えよう」と提案し、その結果として「以前、客足が伸びた実績があるチラシをまこう」という対策が取られることになりました。

このように会議の時間内に対策を決定しようとするあまり十分に議論を尽くさずに結論が出されてしまうことがあります。これでは効果は上がりません。