コンサート

カフェの席にみんながそろって座ると、アッキーとアッキーパパとアッキーママの視線がひまりにいっぺんに集まった。すると、ひまりの耳が次第に赤くなっていったのだった。

アッキーはメニューを見て、ココア、と言いかけたが、紅茶にすると言い直した。ひまりはアッキーと同じ紅茶でと、テーブルに目を落としたまま言った。

アッキーパパとアッキーママはコーヒーを注文した。間もなく運ばれてきたコーヒーはひきたての豆なのか、香り高い湯気が黒色の上でゆらゆらしている。

そして間もなくアッキーとひまりに紅茶が運ばれてきた。が、その紅茶を見ると、えっ、と一瞬みんなが沈黙になった。そのティーカップにはお湯の中にティーバッグが入っていて、なんだか紅茶の色はとても薄かった。

今日のコンサートの興奮が一気に冷めていった。アッキーは自分が何も悪いことをしてないけれどひまりに謝った。ひまりは恥ずかしそうに下を向いたまま、紅茶をひとくちすすった。最初に、アッキーママが口を開いた。

「さっきはごめんなさいね、もっと気を付けていれば良かったわ」

ひまりの方を見ながら言った。今日のアッキーママはとても元気で明るかった。普段アッキーママは外出する事が少なく家で留守番なので、アッキーパパもとても嬉しそうである。