俳句・短歌 句集 母娘 2020.11.11 句集「地雷の如く」より三句 地雷の如く 【第30回】 馬場 美那子 母ひとり、娘ひとり、恋たくさん。 「おひとりさま」とその母の13年を綴るドラマティック川柳句集。 自由奔放にたくさんの恋をしてきた「おひとりさま」な娘。たったひとりの肉親である母は、夫に先立たれて長かった。 ほかに身寄りのない二人なのに、喧嘩して、諦めて、また喧嘩して。恋はすれども、母は捨てられぬ。母への情愛と異性への恋心との狭間で揺れる心情が、おかしみと哀しみを込めながら五七五の17音字に込められた「絆」の物語。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 君の体の銀のしずくよ子が欲しい 死んでみればわかる根の国底の国 ピーヒャララ祭りも恋もフィーバーだ
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『奥会津の人魚姫』 【第18回】 西田 理酉 死んだ娘に掛かっていた6000万円の保険金…。双子の片割れにはアリバイがあった。 「確かに一応関係者の足取りを確認するのが、我々の仕事なのですが、乙音さんと千景さんはその日、会津若松市の複数店舗で買い物をしており、レシートの時刻が正午頃の物もありました。つまり、汐里さんが亡くなった時刻に、お二人がめぶき屋にいなかったのは間違いがありません。これはお店の防犯カメラの映像からも、確認済みです」「でもそこまで調べてるってことは、やっぱり警察も乙音を疑ってたってことだ」「いいえ、これ…