第2章 障害のある子どもの理解

限局性学習障害(SLD)

DSN‐5では、限局性(Specific)が明記され「限局性学習症/限局性学習障害」(SDL)という診断名になりました。文字の読み書きでは読むことが流暢(りゅうちょう)にできない、文字を書けばバランスが悪くて上手に書けない、鏡文字になる、算数では数字の概念が理解できない、計算や推論ができないなど限局的な能力の落ち込みがみられます。

その原因は生物学的起源をもつ神経発達症とされています。これには、言語的または非言語的情報を効率的かつ正確に知覚したり処理したりするための脳の能力に影響を与えるような遺伝的要因と環境的要因があるとされます。診断基準は[図1]のとおりです。次にそれぞれについて述べていきます。

読字障害読

読み書き障害(ディスレクシア)は、「読み」の障害が基本です。「読めない」と「書けない」のです。

もともと人の脳は生活環境において、言語は音声によるものだけでした。そこに、視覚的な形としての「文字」ができたのは今から約5千年前といわれ、文字という形が意味をもつ抽象的な記号として使われはじめたとされます。

[図1] 限局性学習症/限局性学習障害の診断基準
※(1)(2)は「読字障害」、(3)(4)は「書字表出障害」、(5)は「算数障害」