歴史をたどると、LDは1963年にアメリカの教育学者、S・カークが、それまで微細脳障害(MBD)、神経学的障害、知覚障害、読み障害などと呼ばれていた子どもに対して統一した名称です。これを契機に具体的な教育対応も急速に進み、1975年アメリカの全障害児教育法(PL94‐142)で障害カテゴリーの一つとして公的に認知されました。
LDといった場合は、「読字障害」「書字表出障害」「算数障害」などの学習の偏りの障害です。原因の多くは不明ですが、有病率は5~7%とされています。
LDは比較的軽度、部分的な障害とみられがちなので、その症状に対する正しい理解と対応が遅れると、情緒・行動面での二次的障害をおこしやすいのです。文字の読み書きのことですから、就学前の幼児期段階では関係ないと思われがちです。
しかし、就学前の5歳児段階で、すでに9割くらいが文字に関する興味関心をもち、読み書きができるようになっているとされ、残り1割にLDの予備群がいるともいわれます。就学まもない頃から勉強に落ちこぼれていく可能性があります。
特に小学校高学年以上となると他の児童と比較される機会が多くなり、自尊心(セルフエスティーム)の低下をもたらします。それが、不登校、いじめ、非行にもつながり、本人をさらに苦しめるともいわれます。家庭や学校で不適応や非行などの問題行動を起こしやすく、青年期以降の社会的自立にもさまざまな課題を残す場合が多いとされます。