俳句・短歌 句集 母娘 2020.10.26 句集「地雷の如く」より三句 地雷の如く 【第25回】 馬場 美那子 母ひとり、娘ひとり、恋たくさん。 「おひとりさま」とその母の13年を綴るドラマティック川柳句集。 自由奔放にたくさんの恋をしてきた「おひとりさま」な娘。たったひとりの肉親である母は、夫に先立たれて長かった。 ほかに身寄りのない二人なのに、喧嘩して、諦めて、また喧嘩して。恋はすれども、母は捨てられぬ。母への情愛と異性への恋心との狭間で揺れる心情が、おかしみと哀しみを込めながら五七五の17音字に込められた「絆」の物語。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 不幸でも時は流れてくれるから 苦しくても笑う笑って泣けばいい 母が死ぬそんな日が来る覚悟しや
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『13.Feb チョコレーション』 【第3回】 齊藤 俊彦 宇宙船で二人だけの空間を避け、離れたがっているのだろうか? せわしなく地上へ戻りたがる彼の寝顔に感じる恐怖。 明日着陸ということで、朝早くから智子は孝太と協力して準備を急いだ。出荷用の区画の苗につながる給水ユニットを外さなければいけない。地上に着けば苺の摘み取りは地上にある農協のロボットがやってくれるが、摘み取りに邪魔なチューブは予め避けておかなければならない。しっかり働いて、ぐったりしたが、智子は夕食も奮発して料理した。池の鱒を二尾締めて、オーヴンでローストした。途中スモークもかけた。塩をした皮目もこ…