・妄想:財布や物が盗まれたと言う
・幻覚:現実にはないものを見たり聞いたりしたと言う
・不穏:いらいらして落ち着かない、1人では落ち着いていられない
・抑うつ:気分が沈んで元気がない、引っ込み思案になる
・徘徊:何か探したり、居心地が悪かったりなどの原因で歩き回る。歩いて外出し、視空間認識障害のために家に帰れない状態が問題になる
・異食:食べられないものでも口にする
・介護拒否:入浴や着替えなどの介護を嫌がる
・暴力、暴言:納得がいかないことがあると大声を出したり、手を挙げたりする
認知症の人がみな同じ行動をするとは限りません。人によっては非常に暴力的に振る舞ったり、失禁・不潔行為を繰り返したりすることもあります。しかし他の人では、こういった症状が全くなく、むしろ不安が強くて自分から行動しない、じっと家の中にこもっている、たまに外へ出ると徘徊して家に帰ってこられない、ということもあります。
さらに、ライフイベント(人生での出来事)によって周辺症状が現れたり、悪化したりするといわれています。ライフイベントに自分の心がついていけない、これまでと違う生活パターンについていけない、心の支えを失うことが受け入れられない、などがその理由と考えられています。
昨今、巷間では「心が折れる」と称しています。自己の受け入れ可能な範囲を越える現象に直面したときです。
周辺症状(行動・心理症状)は、その症状が介護負担の障壁となり、患者さん自身のQOL(生活の質:Quality of Life)だけでなく介護者のQOLも低下させます。
行動・心理症状は、身体疾患(脳血管障害、感染症、脱水、便秘など)によって悪化することがあるので、かかりつけ医に状態の変化を報告することが大切です。