第2章 なんとか一つの山を乗り越えた

その7 移植後の経過
─移植で終わりではなく、これからが長い道のり─

移植手術から2週間以上経過した、12月25日の血液検査の結果が良かったので「クリーンルーム解除」になりました。

血液検査の結果を見ると、白血球と血小板の数が急激に良くなっているのがわかりました。

ヘモグロビンはもう少しですが、これは「普通、ヘモグロビンは増加が遅く出るもの」だそうです。

さらに、白血球のなかの「好中球」と呼ばれる血球が200個以上ありました。これにより感染による危険度が下がるので「クリーンルーム解除」となりました。

実際には、通常のクリーンルーム病室にいることは変わりませんが、家族が部屋のなかに入ったり、家族以外の人と面会したりすることが可能になりました。

まだ、生着の判断には至っていませんが、ほぼ大きな山は越えたことになります。

ちょうど、この日はクリスマスですから、大きなクリスマスプレゼントをもらったことになりました。メリークリスマス!

そして、さらなるビッグプレゼント。
12月28日には私の造血幹細胞移植の結果が正式に「生着」と認められました。

前日の血液検査の結果を見ると、白血球のなかの「好中球」と呼ばれる血球が500個以上あって、それが2日間連続して既定値を超えたので、正式に「生着」の判断になったのです。

つまり、ドナーさんからいただいた造血幹細胞が私の身体のなかできちんと働いてくれて、正常に血液をつくり出していることになります。

ただし、これからも新しい白血球などが私の体を「異物」と勘違いして攻撃するGVHD反応などが起こる危険性があります。そのために、生着が確定したあとも「免疫抑制剤」を投与していかなくてはなりませんでした。

これは、「あまり異物を攻撃し過ぎないように」コントロールする薬です。抵抗力が抑えられた私の身体は、今後も普通の人よりは病気などに感染しやすい状況にあるため、毎日の歯磨き・手洗いや外出時のマスクは絶対に続けなくてはいけません。

とはいっても、このまま順調にいけば1月末か2月中旬ごろまでには退院できそうでした。その間もずっと免疫抑制剤は飲み続けますが、その後は自宅でリハビリをして、体力の回復状況や血液検査などを見て、来年の夏ごろには職場復帰ができるのではないかと思っていました(その間も、ずっと免疫抑制剤は飲み続けます)。

ここまで、本当に大きな副作用もなく、担当の医師も驚くほど順調に来ていました。年の瀬も差し迫った12月29日には、一般の病室(個室)に移動しました。いろいろな人からの応援が、本当に力になった1年でした。

2016年。新年が明けました。無事に年が越せました。