第1章 思いもよらない事態
その1 その日は突然にやってきた
─楽しみはゆっくり積み重ね、悲しみは突然やってくる─
2015年7月27日の朝6時ごろ、私は大量の汗と背中の強い痛みを感じて、いつもより早く目覚めました。あまりの異常な事態に横で寝ていた妻を起こして「何かおかしい、背中が痛い」と告げました。
妻は普段はあまり寝起きが良くないほうですが、この日はめったに弱音を吐かない私が「背中が痛い」と言ったのでとても心配して、
「すぐに病院に行ったほうがいいよ。救急車を呼ぼうか?」
と言いました。
どうしたらよいか少し考えましたが、私はこれは通常の病気(熱中症や内臓の病気)ではないなと考えて、
「救急車ではどこに運ばれるかわからないので、京大病院に自分で行く」
と伝えました。
今から思えば、この日の約1ヵ月前から昼も夜も汗が多く出ていました。ただ、私は汗かきのほうだったので、「今年の夏はいつもより少し汗が多いかな」程度に思っていました。さらに、この日の1週間前から食欲も減っていて体調もあまり良くありませんでした。けれど、これも「今年は夏バテになってしまった」くらいに感じていました。
それでもこの日の朝は、「これは今までと違う、何かおかしい」と自分でも感じるほどの状態でした。
京大病院(京都大学医学部附属病院)をすぐにネットで調べると、受付は朝8時45分からとのこと。早めに行ったほうがよいと思い、8時ごろに家からタクシーで病院に向かいました。
京大病院では紹介状のない患者は受け付けない方針ですが、5000円を支払うことによって当日でも診察してもらえるということでした。たぶん、このようにしないと大した病気でもないのに一般の病院に行かないで「とりあえず京大病院に行こう」という人で溢れてしまうということだと思われます。