当院の急性期病棟の病床利用率は9割程度(月に平均15名が入院)で推移していたが、新規入院患者と3ヵ月以内の退院患者はいずれも5割程度であり、なんとか基準を維持している状況にあった。

シミュレーションを分析してみると、181日以降の入院患者がおおよそ10名以上になると急性期病棟のほうが収益が高く、10名未満になると地ケア病棟のほうが収益は高くなることがわかった。

地ケア病棟は181日からは566点に減算されるが、急性期病棟は精神15対1で算定されるため844点である。この差は大きく、地ケア病棟を有効に利用するためには181日以降の患者に転棟や退院してもらうようにしなければならない。

また、当院の急性期病棟は高齢者を対象にしているため、入院後に転倒して大腿骨近位部骨折や急性硬膜下血種、肺炎等で転院することも多く、帰院した場合は退院が91日以降になることもある。地ケア病棟は180日以内まで余裕があるため、帰院してからもケースワークのモチベーションが保たれるのでこれは利点である。

道はひとつしかなかった

当院の場合、急性期病棟を180日以内の患者だけにすれば地ケア病棟のほうが収益性が高く、ケースワークもしやすいため、2024年9月に急性期病棟を地ケア病棟へ移行する計画であることを職員に宣言した。

ここまではデータ上から考えたことであるが、本当に危惧したのは、いずれ精神科病院は精神科救急急性期治療病棟と地ケア病棟に2極化され、急性期病棟は精神科救急急性期治療病棟か地ケア病棟への移行を迫られるだろうということである。これは身体科病院の歴史をみれば一目瞭然である。

「なんちゃって急性期」という用語が一時流行っていたが、「なんちゃって急性期」は地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟へ移行されてしまった。

当院は急性期病棟を運営しているが、ギリギリ施設基準を維持しており、16対1の医師配置加算は取得していないし、認知症の患者が多く入院するため精神科救急急性期治療病棟に移行することはもとより考えられず、地ケア病棟を選択するしか道はなかった。