はじめに
2020年からの新型コロナ感染症の流行は2023年に感染症法上2類から5類に移行しても精神科病院の経営に甚大な影響を与えている。
2025年3月12日、日本病院会など病院関係6団体は2024年の経常利益が赤字の病院が6割超えになると報告したが、精神科病院の多くも赤字に転落していると思われる。
2023年、当院は医業利益が赤字となり、2024年には経常利益が赤字となった。
私は約30年、精神科病院の経営に関わっているが、コロナ禍後の経営状態は過去最悪である。
少子高齢化、人手不足、賃上げ、物価高騰など病院経営を取り巻く環境はマイナス要因ばかりであり、小さな精神科病院で対応できる問題ではないが、それでもあきらめないで経営改善のため行動することが大切である。
2024年度診療報酬で精神科地域包括ケア病棟(以下、地ケア病棟)が新設されたのを機に、当院は2025年3月、精神科急性期治療病棟(以下、急性期病棟)を地ケア病棟へ転換した。
病院は地域限定の経済活動と表現されることがあるが、それならばこれまで以上に地域に密着して自院の資源を最大限活用して窮地を脱するしかない。
地ケア病棟を開設して有効活用することで地域医療提供体制を構築し、地域の役に立つ医療を展開するしか道はない。
本書は赤字経営からの脱却のため地ケア病棟を開設して経営改善に取り組んだ記録である。地ケア病棟を開設して精神科病院の経営を改善しようと奮闘している精神科病院の関係者の一助になれば幸いである。
なお、本書は2025年12月に書かれたものであり、その時点での情報を基に執筆しているので、2026年度の診療報酬改定の動向いかんで本書の内容とそぐわない事態になる可能性もあることを考慮していただきたい。