第1章 西国に、「いのち」と「平和」を巡る
1 国生みの島から宇宙へ──淡路島と138億年のつながり
10月20日―21日(大阪→淡路島)
胡蝶夢号の最初の目的地は淡路島だった。
明石海峡大橋を渡ると、秋の風が海面を走り、島の輪郭をやわらかく照らしていた。
淡路島は、日本神話における「国生み」の地である。古事記(①、②)によれば、天地開闢(かいびゃく)ののち、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二柱の神が国土を創るため、「天の浮橋」から矛を海に差し入れてかき混ぜ、その矛の先から滴り落ちた塩が固まってできた最初の島が「淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま)」、すなわち淡路島だ。
日本列島で最初に生まれた島が淡路島であり、ここが「国生みの島」と呼ばれるゆえんだ。
沼島の自凝神社(*2)、おのころ島神社(*3)、伊弉諾神宮(*4)──古代の気配が残る場所を歩きながら、私は静かに思った。
*1 第2章 生命科学から「いのち」を考える
*2 沼島(ぬしま)は神話上の最初の島とされている、「オノコロ島」伝承地。淡路島南端の土生(はぶ) 港から定期船で約10分のところにある。
伊弉諾尊と伊弉冉尊が天の浮橋から矛で海をかき混ぜた際、その雫から生まれた島とされている。鬱蒼とした木々の中の坂道を上った小高い丘におのころ神社(自凝神社)は鎮座していた。神社の鳥居の向こうに海が広がる国生み発祥の地だ。天地創造の象徴とされる二本の巨岩、上立神岩(かみたてがみいわ)がある。
*3 沼島の伝承とは別に、淡路島内には「国生み神話」のもう一つの聖地である「おのころ島神社」がある。日本三大鳥居の一つである赤い大鳥居が印象的だ。
*4 伊弉諾神宮は、伊弉諾尊が晩年この地に鎮まり、余生を過ごしたと伝えられる地に建てられた。淡路島 信仰の中心で、日本最古の神社の一つ。創建は古代に遡り、『延喜式神名帳』(927年)にも「名神大社」として記載されている。境内にある伊弉諾・伊弉冉の結びの象徴である「夫婦大楠」は樹齢900年以上の御神木だ。
① 中村啓信(2009)『古事記』(KADOKAWA)
② 三浦佑之(2014)『古事記 歴史は一つではない』(NHK出版)
次回更新は10月28日(水)、18時の予定です。
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