第一章 家族ネタ
猫とおばあさんとネズミ
A 昔子供の絵本に縁側で、日向ぼっこしているおばあさんが、書かれてるのを見たことあるやろ。
B あるけど、それがなにか。
A その膝に決まって猫が抱かれてるやろ。
B あるけど、それがなにか。
A 今時はそれが問題やねん。
B 変な事いうな。おばあさんが猫を抱いて日向ぼっこしてる。なにが問題やねん。
A 考えてみ。実際に猫を抱いたおばあさんが、日向ぼっこをしてるのを、最近見た事あるか。
B いわれてみればそうやな。今時縁側そのものが少ないわな。
A ほんで今みたいにええ材料がなかった時代やで。
B 昔の家はすきま風が入って来て寒かったからな。
A そやから、お日様の温みは、とてもありがたかったんや。
B まあ貴重な暖房手段やったからな。
A 今はどうや。床暖房なるものがあるねんで。
B そうやな、床暖してる家多いもんな。
A そうや、床暖が発達してきたから、猫はもうおばあさんの膝なんかいらんねん。
B ああそうか、床の方が膝より暖かいもんな。
A 床に寝転がってた方が、おばあさんの膝よりもっと暖かいねん。
B なる程おばあさんの膝はもう用なしになったんやな。
A 元総理が長生きして孫を膝に抱いてなんて言うとったことあるの覚えてるか。
B 覚えてる、覚えてる。ええことやんか。
A アホか。なにがええねん。考えてみ。長生きして九十や百才になってみ。
B めでたいやんか。孫も立派になって。
A その時には孫も、もう三十才位になってんねんで。
B そらそうやわな。
A そんな孫を膝に抱いてみ。どうなると思う。
B どうなるねん。
A 骨が折れるわ。
B ほんまやな。
A 俺は犬は好きやけど、猫は苦手やな。
B 猫かて可愛いやん。
A 可愛いか。犬には表情があるけど猫には表情がない。