第1章 医療
多くなったか? 膵がん
急に出現した黄疸を改善させるための処置を受けた後、Hさんは元気で退院されました。10日間の入院でした。今年93歳になるHさんは16年前に脳出血で入院された時からのお付き合いです。
幸い出血による後遺症もなく歩いて通院されておりました。ご高齢ですが認知症もありません。そんなHさんに膵がんが見つかったのは1年前のことでした。
でもあまり自覚症状もなく、ご高齢ですのでがんに対して無理な治療をすることもないと、ご家族との相談の結果、これまで外来で経過を見てきました。ご高齢のHさんですが以前の入院以来、今回まで入院されたことはありませんでした。病気の性質上あまり多くの余命は望めませんが可能な限り家で過ごして頂きたいものです。
さてHさんは退院されましたが同じ時期のわずか2週間ほどの短期間に、Hさん同様に黄疸が出現し、減黄処置が必要となった方がほかに2人もいました。2人とも膵がんです。この3人の他にもう3人外来通院されておりますから、化石医師は同時期に6人の膵がん患者さんを診ていることになります。
プロ野球の星野仙一さんがこの病気で亡くなられてから俄かに脚光を浴びていますが膵がんは治療が難しいがんです。でも腹部のがんの中では胃がん、大腸がんに比べ、決して多いがんではありません。
化石医師は膵臓を一番の専門としていますが、膵がんの診断がついても根治切除できるような方は少なく、何度も悲しい経験をして来ました。それだけに何とか小さなうちに発見したいと考えています。