「ちょっと目を離した隙に、飯の中に砂が入っとった」

「集めた段ボールが雨も降ってないのに、びしょびしょになってた」

「小屋の屋根がでかい音を立てたことがあるけど、あれは屋根に石を投げられたのかもしれねえな」

ホームレスたちの訴えを黙って聞いていた結城は、一人一人の顔をじっと見て言った。

「今度そのような不審なことがありましたら伝えていただきたいのであります。そして皆さん、決してお一人になりませんように」

いつになく真剣な結城の語り口に、なんか怖えとタマさんは不安そうだが、気の強いワタさんはふんっと鼻を鳴らし、

「お巡りの世話にゃなんねえよ!」

そう強がってみせる。犯人はこの中にはいないという結城の言葉を皆が信じたのかどうかは知らないが、身に覚えのないワタさんは小屋の中に入ってしまった。

その次の日の夜遅く、夕陽ヶ丘署はちょっとした騒ぎになった。会議室の中には河川敷のホームレスたちが座っている。額に絆創膏を貼ったワタさんが興奮して、

「俺たちが小屋で寝ていたらいきなりロケット花火を打ち込まれたんだ!」

そう唾を飛ばしながら言い募り、コーさんも包帯を巻いた手を痛そうにさすりながら忌々しそうに言う。

「皆びっくりして外に飛び出したらガキどもが襲ってきたんじゃ」

その言葉に皆、大きく頷く。

「それで皆で返り討ちにしたのか」

呆れ顔で言う刑事にとんでもない、とコーさんが手を振って思わず痛さに顔をしかめながら言う。

「わしが棒切れで殴られそうになっていたのを誰かが助けてくれてのう。覆面被った人がガキどもをあっちゅう間にやっつけた!」

「本当に秒殺で、俺もスカッとしたぜ!」

と、ワタさんも嬉しそうだ。

次回更新は10月2日(金)、7時の予定です。

 

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