中学に入る頃には結城はもう諦めた。父も母も自分に関心を寄せることはないのだ。結城はもう両親のことを見限った。
東大に行かなかったのは現場の警察官になりたいのが一番の理由だったが、結城は早く社会人になってこんな家を出たかったのである。そして温かい家庭を持ちたかった。求めても得られぬのなら、自分でそれを築こうと思ったのである。
2 ホームレスたちとの出会い
篠町四丁目交番から商店街を南に抜けると、ちょっとした河川敷に出る。川沿いの土手は遊歩道になっており、人々がジョギングしたり犬の散歩をしたり、川辺のグラウンドでは子供たちが野球やサッカーに興じている。
しかし川沿いを西に少し歩くと、そこには板切れやビニールシート等で簡易な小屋を造り住み着いている数人のホームレスがいる。
警察官の姿を見るとホームレスたちは皆小屋の中に引っ込んでしまう。ここを立ち退いて支援施設に行けと言われるのがわかっているからである。
幸いなことに、勤務に熱心でない洞口は面倒臭いので、土手の上の遊歩道からこの川辺に下りてくることはないし、たまに気が向いて下りたとしてもさあっと通り過ぎるだけである。
しかし結城はこういう川辺の土手や空き地、草叢の中も丹念に見て回る。そしてたまに犬や猫の死骸を見つけると保健所に通報したり、首輪に住所などが書いてあれば飼い主に連絡したりする。
自分で自分の仕事を増やしていると洞口には馬鹿にされるが、それでも結城は黙々と見回りを続ける。それだけでなく、結城はよくホームレスたちの小屋の一つ一つ回って声掛けをしている。
次回更新は10月1日(木)、7時の予定です。
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