飛行機は、赤い土の国の上空を低く飛んで滑走路に滑り込んで行きました。空港の建物の中は、朝早い時間にもかかわらず、人の波は多く、賑わいを見せていました。タケルは、入国審査を済ませてから、荷物を受け取ると空港の建物の外に出ました。

建物の周りには、観光バスが、列を作って観光客を待ち受けていました。タクシー乗り場にも列が出来ていて、タケルはその列の後ろに並びました。タクシーに乗ると、予約してあるホテルの名前を紙切れに書いて、運転手に渡しました。

砂漠の国だけあって、空港の周りには緑が少なく、車を進めて行くと、赤い建物が目に付いて来ました。タケルが運転手に「あれは?」と聞くと「カスバ」という答えが返って来ました。

タケルは、ホテルに着くとチェックインを済ませてから部屋に入り、シャワーを使ってさっぱりしました。今日の午後一時に現地のガイドを頼んであって、ホテルに来る事になっています。

タケルは、少し時間があるのでベッドの上で手足を伸ばして、飛行機の中で縮んでいた身体を癒しました。タケルは、現地のガイドが来る前に、昼食を済ませておこうと思って、ホテルのレストランに下りて行きました。

このホテルは中規模で、朝、ホテルに入った時は、十人位の団体の観光客や、ビジネスで来ている客でごった返していたロビーは、昼前の今、閑散としていました。

タケルが昼食を済ませてから、ロビーのソファに腰を下ろして休んでいると、一人の女性が近付いて来て「小野田タケルさんですか?」と聞きました。

タケルが「はい、そうです」と言うと、女性は「私は、今日から三日間ガイドを務めますユリアと申します、どうぞよろしくお願いいたします」と言って挨拶をしました。タケルも「よろしくお願いします」と言ってから「日本語がお上手ですね」と付け加えました。ユリアは「はい、たくさん勉強しました」と言って笑顔になりました。

ユリアは「今日は、これからマラケシュのスークをご案内します、明日は、朝早く起きていただいて、サハラ砂漠の地平線に昇る日の出を見に行きます、午後は、市内をご案内します、三日目は、カスバ街道を通って、トドラ渓谷をご案内します、夕方は、カサブランカ、というカフェに行こうと思っていますが、他に何処か、ご希望の所はありますか?」と言いました。

 

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