芳江さんは僕を可愛がり、頭をひねって名前を考えてくれた。

僕は黒猫、つまり白の反対だから、シロ→ロシ→「ロッシー」。

ちょっと適当な気もするけれど、僕は嬉しかった。ロッシーって何となくカッコ良くて、勇ましい名前に思えたんだ。

芳江さんが「ロッシー、ロッシー」と呼んで、ご飯を出してくれるたび、「何がロッシーよ。猫なんだから、にゃん太郎でいいじゃない」と、バカにしたような智子ママのことばに、僕のプライドは傷ついた。

(いくら猫嫌いだって、にゃん太郎なんていかにもオス猫だとわかりやすいし、何となくダサいじゃないか)と僕は思った。

智子ママがにゃん太郎と言うたびに、「違うよ、ロッシーだよー」と、芳江さんはきっぱり言い直してくれた。

二階の芳江さんの部屋にあるラタンチェアーの上に僕用の丸い布団を敷き、部屋の隅には、ご飯と飲み水用のお茶碗も用意してくれた。

芳江さんはいつも僕と一緒に遊んでくれていた。でも学校に行っている間は、僕はずっと部屋で昼寝をしながら、芳江さんが帰ってくるのを待っているしかなかった。