【前回記事を読む】これが北朝鮮の現実──行きたい場所リストを案内員に渡すも、許可が出ず…その目を見てハッとした。まだ朝鮮戦争は終わっていないのだと…
1回目の訪朝
3 いざ行かん! 妙香山(ミョヒャンサン)へ
■カワウソを探し求めて
妙香山(ミョヒャンサン)を訪れたのは、7月1日〜8日、26日〜28日の計11日間です。
しかし、最初に出向いた1日からあいにくの梅雨入り……。
案内員の「大丈夫! 俺は運が強いんだ!」というまったく根拠のない一言に励まされ、一行は調査を開始したのでした。
とりあえず、題目から「あれ? カワウソ?」と思われた方も多いと思うので、ここで再度今回の訪朝の目的を確認しておきましょう。
第1に、カワウソの調査を行うことで、最低限の成果として、「足跡と糞の発見」が必要。
第2に、その「空き時間を利用」して、昆虫相の調査を行うことです。
そのため、実はこの妙香山を訪れた主な目的はカワウソの分布調査で、足跡と糞(今度は哺乳類の糞かいって感じですが、動物の研究者にとって糞は貴重です!)を見つけるということでした。
私は、昆虫採集の成果に関してはある程度予見はできましたが、このカワウソでの成果だけはほぼ自信がなく……。
しかし、この調査でのノルマ達成なしでは、室長に「昆虫採集ばっかりして、カワウソの調査をさぼっただろ!」と言われるのが怖かったのもあり、少し緊張しながら気合を入れて調査に挑みましたが、私は専門外=戦力外です。
そのため同行してくださった国家科学院生物分院に所属して、主にフィールドへ出かけながら撮影を専門とされているT氏(40代後半くらい)とともに妙香山へ向かいました。
このT氏には、中学に通う愛娘が一人いるのですが、それにもかかわらず、1年間の3分の2を野外で過ごしながら研究を行っているバリバリの、根っからのフィールド・ワーカーで、その経験談を聞くと耳を疑うものばかりでした。
例えば、渡り鳥の生態を記録するため無人島で3ヶ月間もの間撮影をした際、迎えの船が悪天候で遅れたために食糧が底を尽き、最後の1週間は海でカレイを手掴みし、雨水を飲みながらしのいだ話を懐かしがりながら楽しくお話しするのです!(もうそのレベルは単独で「有人島」に変更できるレベルやん……)
また、今回旅館に泊まった時も、「俺はこういう場所が性に合わないんだよ。野宿の方がいい!」と、食料を買い込んで知らぬ間に出て行ってしまいました。(もうそのレベルは野生動物やん……)