【前回記事を読む】周囲からは“ウンチに接吻”しているようにしか見えない私。牛や鹿の糞に顔を近づけ、管で虫を吸い取っていると「この人、一体何をしているんだい?」
1回目の訪朝
2 平壌(ピョンヤン)市内での採集記
■大城山(テソンサン)で糞虫と出会う
大城山ではそれ以外にも、夜に電灯をつるして昆虫を誘引するトラップ装置であるライト・トラップを仕掛けて夜間採集を行った時に、トラップやその周辺の木々でミヤマカミキリやカナブン、カブトムシを採集することができました(写真9)。
写真9 樹液に集まるミヤマカミキリ
これらは姿形も日本産種とほとんど同じなのですが、朝鮮で採れた虫は何か「特別」に感じられました。日本ではあまり興味のない種に関しても、そのすべてがどれも自身にとって大変貴重に思えたのです。
この過程で、今回の訪朝が私にとっては「ただの昆虫相の調査」ではなく、「祖国で自分探しの旅」であるのだと明らかに感じました。また、朝鮮半島と日本の生き物の共通性を再認識し、互いにより良い関係を構築できるはずだという希望も実感したのでした。
■中央植物園を訪れて
次に、中央植物園を訪れました。
ここは大城山(テソンサン)の手前にあり、向かい側には中央動物園があります。その名の通り多くの樹木が植えられ管理されており、それらを研究している場所です。
昆虫はその多くが植物と共生関係にあるので、採集地の植物の種類が多いほど採集成果も期待できます。しかし、この植物園では、植物を病害虫の被害から守るためにしっかりと薬剤散布を行って手入れをしていたので、思った以上の成果はありませんでした。
また、採集する上で何よりも困った問題があります。それは、一生懸命に採集をしようと茂みの奥に入って行けば行くほど「カップル」とばったり出会うのです。