コントラクトブリッジ

AlphaZeroなどの登場をもって、人間は知能ゲームにおいてはことごとくAIの軍門に下ったかと言えば、そうではありません。まだ人間の名人が必ずしもAIに負けていないゲームもあるのです。その端的な例はコントラクトブリッジです。

これは、二組のペアの計四人が52枚の標準トランプカードを使ってプレーするゲームです。その源流は16世紀に英国で始まったホイストというゲームで、少しずつ改良を重ねた末に、1925年にアメリカで現在の形が完成されてから世界中に広まりました。本書が刊行される頃にはちょうど100周年を迎えます。

コントラクトブリッジのゲームは、ビッディングとプレーの二つの部分から成り立っています。後半のプレーでは、各人に13枚ずつ配られたカードを一枚ずつ出し合って、その中の最高位のカードが勝つ「トリック」という手順を13回行い、ペア同士で勝つトリック数を競います。

前半のビッディングはセリに当たり、プレーの13トリック中、ペアの二人で過半数の7トリック以上いくつを、どのスートを切り札にして(または切り札なしで)取るという宣言を一定のルールに従って順繰りに行います。最終的に最も高いビッドをしたペアがそれを達成するとの契約、すなわちコントラクトをして、プレーに移ります。

もう一方のペアは、最初の打ち出しを行うとともに、コントラクトの達成を阻止することを目指します。これがブリッジの原型ですが、カードが一回一回配られるごとの各人の持ち札(ハンドと言います)の内容(絵札が多いほど強い)は当然運に左右されます。

その運の要素を排除するために、例えば2〜3時間のセッションだと20くらいの同じハンドの組み合わせ(ディールと言います)を多数のペアがテーブルを入れ替わりながらプレーして、それぞれのハンドなりの可能性を他のペアに比べてどの程度引き出せたかを競うデュプリケートブリッジという方式が編み出されました。

ブリッジはトランプを使ったゲームとしては人類が生み出した最も洗練されたものと言ってよく、欧米を中心に、社交のための遊戯として、またそれ以上に、デュプリケートブリッジは、世界的に統合されたシステムのもとで、各地の公認されたブリッジクラブで常時行われているシリアスな競技です。