人事における雇用者の責任
僕は会社の先代の社長(現会長)に教わったことで今でも守っていることがあります。
僕が社長になりたての頃、会長はこんなことを僕に言いました。
「経営者にとって一番大事なことはなんだと思う?」
僕は少し考え、「決断力や推進力です」と答えました。すると会長は、
「社員の雇用を守ることだ」と答えました。経営者たるもの、一度雇用した社員は雇用し続ける責任がある。
たとえその人の出来が悪くても、その人にも生活や家族があり、その雇用を守ってこそ経営者だし、そもそもその人を選んだ自分の責任なのだと。
経営者であれば、人事をするうえでも好き嫌いだけでは務まらないことが多々あります。
仕事の覚えが悪かったり、出来があまり良くなかったり、「この人は使えないな」と周りから思われてしまう人は会社の中には必ず何人かいると思います。
ですが、経営者には雇用をした責任があり、一度その人を雇用すると決めたら、その人の良さを引き出すところまで可能性を捨てずに見出す義務があると僕は思います。
人によって仕事や成長のスピードはさまざまです。大器晩成という言葉があるように、新人の頃にあまり出来が良くなくても、立派なプロデューサーへと成長する人を今までたくさん見てきました。
だから僕は今でも会社を経営するうえで、売上や利益ももちろん大事ですが、大きな目標を抱えるのではなく、今いる社員の雇用をとにかく守ろうと思い、それをポリシーにして働いています。
よく考えれば、今の僕があるのも、ミュージシャン上がりの右も左もわからない30歳近いド新人をここまで教育し、社長にまで育ててくれた諸先輩方が、僕を見捨てなかったおかげなのですから。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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