時を超えるつばめになろう

私はホバリングを究めるべく、つばめやはちどりの動画を見つけてきてスロー再生したが、羽根の動きが速すぎてよくわからない。毎秒80回も羽ばたいているそうだ。研究者の記事も参考にし、元々スロー撮影の動画をさらにスロー再生しながら腕の振り方をまねてみた。夜になってまどろむと、河川敷に出てその習得に取り組んだ。

予想よりも時間は要したが、ホバリングもマスターした。長距離飛行も、もう少し鍛えれば四国まで飛べるだろう。また興奮している自分に気が付いた。一人暮らしを始めてからは娘とでかけるとき以外で、こんなに胸の高鳴りを覚えたことはない。

四国までは直線で行くより海に出たほうが人目も気にならないし、よい風も受けやすい。だが途中に休める場所がない。偶然近くを通った船に降りられればいいが、見つかるかもしれないし、方向がちがえば進んだはずの距離をロスしてしまう。

雨が降ると、風も強くなって流される。Y-3のスーツは防水性があるが、フードをかぶったとて隙間から雨水が入り込んでくるだろう。体が冷えると体力が一気に奪われて落下しかねない。危険だ。慎重にも慎重を期さないと、「てる」を救い出すミッションは達成できない。

次回更新は9月9日(水)、11時の予定です。

 

👉『私が空を飛ぶ理由』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】「妻が僕たちのことに気づき始めているって本当?」 ベッドから上半身だけ起こし、隣に寝ていた妻の親友に話しかけた…

【注目記事】振り向いた彼の胸に手を当てて背伸びし、唇を重ねた――2人きりの店内。妻子のある彼に…

 

ゴールドライフオンライン(GLO)は、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン(GLO)編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp