朝鮮ではよく「行く道険しくとも笑って行こう!」というスローガンが掲げてあるのですが、まさにその言葉を何回も心に刻み込みました。

先に述べた吸虫管で糞虫類の採集をするのはたまったものではありません!

「ウンチ味のタバコ」と私はよく案内員に比喩で説明したのですが、その臭いは肺まで届いて生きた心地がしませんでした。後に専門家から、この方法は奇病にかかる可能性があり危険なので、決してしないようにと注意されました。

私がこのような覚悟で一生懸命に採集に励んでいると、何か周りが騒がしくなってきました。気が付くと私と案内員の周りに休暇で来ていた人たちが集まっていたのです。

そして案内員に向かって、「この人、一体……何をしているんだい?!」と尋ねているのでした。

無理もありません。

少し離れて私の姿を見ると、「ウンチに接吻」しているようにしか見えないからです(笑)。

案内員が「え〜と……彼は海外同胞で、今は糞を食べる〜、え〜、その虫を〜……採集中なんだよ!」と、聞かれるたびに恥ずかしそうに、しかし真面目に説明してくれましたが、その光景には思わず笑ってしまうほどでした。案内員は私を担当しているので、どうにか懸命に擁護しようと必死だったのですが、さすがに糞虫採集の説明はハードルが高かったようです。

私も周りで人に見られながら糞虫類を採集するのは初めての経験で少し恥ずかしかったのですが、額の汗をぬぐいながら一生懸命に採集目的を熱弁すると「へー!」とか、「そうだったのかい!」と納得してくれました。この時、朝鮮の人たちの、少しでも人から学ぼうとするパワーというか、気迫が凄いなと強く感じました。

糞虫類は環境指標生物としても有用ですが、公園や牧場などで糞を除去し衛生的に良い環境を保つ上でも欠かせない生き物です。そのため鹿の多い奈良公園では糞虫類が重宝され保護されています。

また非常に興味深いことに、彼らは私たちが最も栄養分として乏しいと考える排泄物を糧として生活をしており、その栄養吸収システムの解明は私たちの社会に多くの可能性を見出してくれるはずです。

 

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