【前回の記事を読む】「歯石は定期的に歯医者さんで取ってもらうべき」は、都市伝説だった! 実際は歯を破壊する行為なのに、なぜ一般に普及したのか
第1章 保険診療はベストな医療ではないという問題
2 プラークコントロールなしの歯科治療
プラーク(歯垢)とは、皆様もご経験があると思いますが2~3日歯を磨かないと、歯の表面にぬるぬるとした膜が付着してきます。これを歯垢・プラークといいます。
私は患者さんに「プラークとは何ですか?」とたびたび質問をします。ほとんどの患者さんは「食べかすですか?」とお答えくださいます。意地悪でこんな質問をしているのではないのでお許しください。簡単に言うと、食べかすではなく「食べかすが分解、発酵して口の中の細菌が歯にくっついたもの」です。
このプラークの中の虫歯菌により虫歯は発生し、歯周病菌により歯周病を発生させるので、虫歯も歯周病も感染症といわれています。
人間はたくさんの細菌と共生しています。たとえば腸内にはおよそ100~300種類以上の約100兆個の細菌が生息していて、口の中にも300種類から400種類以上の口腔内細菌が存在し、歯に付着するプラーク(歯垢)1mgの中には1億から10億の細菌がいるのです。
むし歯や歯周病は風邪やインフルエンザのように感染します。原因となる菌が親から子、家族間で感染することは証明されていて「垂直感染」と呼びます。
私達の医院に初めて来られる患者さんのお口の中を拝見するとほとんどすべての方が歯磨きできていません。
よく歯磨きといいますが歯は床を磨くとか宝石を磨くとかいうものでなく、歯の表面についたプラークを削り取り、除去することを意味しています。
「歯の解剖学的形態(歯の形がどのようになっているか)」
「歯と歯周組織との関係(歯と歯周組織がどのような関係か)」
「歯は骨の中にどのように植わっているか」
「歯と歯の間の空隙はどのような形をしているか」等を理解し患者さんご自身がプラークが残らない方法をマスターするべきです。
四角い部屋を丸く掃除してもだめで、プラークコントロールも細かい隅が大切です。歯ブラシだけでは、これらの細かい部位は清掃できないので通常の歯ブラシだけでなく、歯間ブラシ、タフトブラシ、デンタルフロス等が必要になります。そして最も重要なことは患者さんご自身が病気の原因を頭で理解し、予防しようと実践することです。