まえがき
私がキャラウェイとアキミさんと知り合いになったことは、身の周りの色々些細なできごとや物事に気づき、本当に見える・見るという体験を日々実感する大きなきっかけになりました。
アキミさんは眼の見えない方です。
その相棒の盲導犬キャラウェイはお仕事中は特に、無駄を排したその動きでしっかりとアキミさんの意に沿って働き、何よりアキミさんの安全を確保する責任を負う、真剣な姿をいつも示してくれます。
それでいて大きな犬の魅力的な動きにはホトホト魅せられます。誰だってふと触りたくなるかも知れません。
でも大真面目で真剣にお仕事をしている最中は、盲導犬の責任感と集中力の邪魔をしてはいけません。
仕事着を脱いで、キャラウェイがお茶目で好奇心に溢れた行動をする時は、この大きな犬の魅力を確かめるために触れさせてもらえるチャンスです。
でも私はそれほどたくさん触ったわけでもないのです。オオカミを祖先に持つ犬の勇敢さと知性と好奇心、寛容(かんよう)さと人に対する親和性(しんわせい)は、犬種によってオオカミとの距離の違いがあって、人間のパートナーになった賢く優しいキャラウェイの姿にも誇り高き野生の神秘を感じてしまう私だからです。
ところで今日私は歯科受診の予約が入っていて、バスの時刻表よりちょっと早めに家を出られたので、歩いて行くことにしたのです。
結果45分ばかり歩いて、往復4〜5,000歩も歩きました。腿(もも)の筋肉がちょっと疲れました。
いつもバスであっさりと行ってしまう道を、裏道を選んで歩くとそこにも盲人のための誘導ブロックが走っています。
特に交差点には進行マークと警告マークが見事に張りめぐらされています。裏道の交差点に珍しい表示がありました。
「これは眼が見えない方のためのものです。ここにものを置かないでください」と誘導ブロックの上に白い線で書かれていました。
信号を待つ時に無造作に地面を避(よ)けて、大きな荷物を置いたりしそうですものね。
キャラウェイと一緒に歩いた大切な思い出が浮かび、長い歩道の黄色いまっすぐな誘導ブロックにわざわざ沿って歩きたくなるけれど、やっぱり私の靴底はちょっと苦手と言っています。
アキミさんも私も胸の内に優しいキャラウェイへの思いがいっぱいです。
2026年2月1日