富永は、翌月の第二日曜日の午後、日吉の白川宅を訪問した。

ケーキ八個を手土産に持参した。

洋子さんが、応接間に案内してくれた。父親の白川正一さんが顔を出された。

「洋子がいつもお世話になっています。先日は、演奏会にお誘い頂き、喜んでいました。会社でもご指導して頂いておるようですね」

「指導などできていません。社長秘書をしっかりやっておられます」

「富永さんは、会社に入って何年ですか?」

「入社して、七年目です。総務の仕事は、会社全体の動きが見えていい部署ですが、仕事のスキルを確立しにくいのが難点です。社内人事制度があり、十年ごとに人事異動があります」

「どこに異動するのですか?」

「本社内では、人事部門や企画部門です。場合によっては、大阪支社などの総務部門です」

「ビジネスマンは、各部門を移動しながら、管理職へ昇進していくのですね」

「定年までには、平均、三部門は移動します」母親の玲子夫人が、ケーキと紅茶を運んでくれた。

「早速、ケーキを頂いております。ごゆっくりしてください」

両親への挨拶が終わった後、洋子さんは、趣味の書道の作品や、小さい頃のアルバム写真を見せてくれた。二時間ほどして、無事に挨拶は終わり、白川宅を辞去した。

会社内で、SDGsの取り組みは、かなり進んできた。社長から導入方針が公表され、本社および各支社に推進チームが設置された。コンサルタント会社から講師が派遣されてきた。

講師は、本社、名古屋支社、大阪支社、福岡支社のそれぞれの会場で、SDGsの目的と進め方の講演をした。

 

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