③慢性的な炎症
持続的な感染や物理的・化学的な細胞への傷害は、炎症を起こします。そして、慢性的な炎症は、細胞の遺伝子に損傷を与え、がんの発生を促進することがあります。例えば、C型肝炎による慢性炎症は肝臓がんの原因となります。
④ミトコンドリア異常と活性酸素
細胞の小器官であるミトコンドリアの機能不全は、細胞のエネルギー代謝に影響を与え、がん細胞の成長を助長すると考えられています。さらに、ミトコンドリアの機能不全は活性酸素を産生し、DNAに損傷を与え、がんの原因になることがあります。
最近は、昔からあるがんの原因論も再注目されており、その理解が複雑化してきています(51ページの図)。
以上のように、がんの原因は多岐にわたり、単一の要因に帰することはできません。したがって、「なぜがんになるのか?」という素朴な質問に対しては、まだまだ簡単には答えられないのです。これは、がんが遺伝や環境、生活習慣などの複雑な相互作用によって引き起こされる可能性があるからなのです。
がんは老化の失敗作かもしれない
■がんは長生きの宿命?
がんは高齢者に起こりやすい病気です。年齢を重ねると遺伝子のコピーミスも起こりやすくなり、遺伝子の異常が蓄積していきます。
このように考えると、長生きすればするほど、がんになりやすくなると言えます。昔の日本人は感染症などで亡くなる人が多かったのですが、現在の日本は世界有数の長寿国になりました。
長生きすることががんを誘発するのならば、人ががんになるのは宿命のように思えます。長生きの代償とでも言えるでしょうか。
しかし、年を取って体が衰えていく中で、がん細胞は周りの衰えていく細胞に逆行するように誕生します。周りが衰えていく中で、急にエネルギッシュな細胞が生まれるのは、一見、不合理のように見えます。
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