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第1章 腎臓病は静かに進行する国民病

がんは細胞の病気である

周囲との協調性の欠如

正常な細胞は、他の細胞と協調して活動しますが、がん細胞は基本的には他の細胞と協調しません。周囲の正常細胞からの停止信号も無視しますので、細胞分裂が止まりません。

すべての細胞には自らの増殖を制御するブレーキや自爆装置が備わっていますが、がん細胞はそれが壊れています。

さらに、周囲の細胞からの圧力にはお構いなしで、周りの組織に進入します。これは例えるなら、ブレーキの壊れた暴走機関車のようなもので、駅の停止信号も無視して、勝手にどこへでも行くのです。そして、暴走機関車は、行った先々で障害物を破壊していくのです。

■がんは遺伝子に問題がある

がんの原因を説明する時に、最もよく言われるのはDNAのコピーミスです。細胞は分裂する際にDNAをコピーして分裂します。

そして、遺伝子はDNAでできています。偶然遺伝子のDNAにコピーミスが発生すると、遺伝子が正常とは異なるアミノ酸やタンパク質を作ることがあります。

特に、がん遺伝子がん抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子にそのようなコピーミスが起きると、異常なアミノ酸やタンパク質が作られ、がんの発生原因となることがあります。

体の大きな動物は細胞の数が多く、その分、DNAのコピーミスは多いはずです。しかし、象やクジラはがんになりにくいとされています。

象はp53というがん抑制遺伝子のコピーを多数持っているため、がんになりにくいと考えられています。このように、がんの発生には遺伝子の種類や数も重要な役割を果たしています。

最近の研究では、遺伝子異常とは無関係に発生するがんも明らかになってきました。遺伝子そのものに変異がなくても、遺伝子を修飾している物質(エピゲノム)が変化することによって遺伝子が正常に働かなくなり、がんが発生するのです。

いずれにしても、がんは遺伝子が正常に働かなくなると発生しやすくなることは確かです。がんという病気は、はじめに正常細胞からがん細胞が誕生し、それが増殖して腫瘍になり、やがて他の臓器に転移していく病気です。

この一連の過程は、すべて細胞レベルで起きますので、がんは細胞の病気であると言えるのです。

がんの原因論は巡る

がんの原因となる遺伝子の異常はDNAのコピーミスだけでなく、他の要因も絡んでいます。突然変異以外の仮説を以下に列挙します。

ウイルス感染

特定のウイルス、例えばヒトパピローマウイルスやB型肝炎ウイルスは、がんの発生に寄与することが知られています。これらのウイルスは、宿主の細胞の遺伝子に影響を与え、細胞の増殖に影響を与えます。

環境要因や生活習慣

喫煙、飲酒、肥満、さらには特定の化学物質への曝露などが、がんの発生に寄与することが示されています。これらの要因は、遺伝子に直接的な損傷を与えることがあり、結果としてがんのリスクを増加させます。