第1章 外国の若者と接する楽しさ

前置きはこのくらいにして、いよいよ日本語学校の教室に入っていこう。私の場合、上級を多く担当したので第2節以下の話のほとんどが中国人である。そこでまずは中国人以外の学生の話から始めよう。どんな学生がいるのか、学生たち自身の話から紹介したい。

第1節 日本語学校は小さな国際社会

(1)モンゴル人学生の思い出

中国は人口大国だし日本との経済的な結びつきも強いから中国人学生が多いのは不思議でも何でもないが、次に多いのがモンゴル人学生だというのは少々意外だった。

そのモンゴル人学生、教え始めた頃の経験だから今は違うとは思うが、当時は喫煙率が高く喫煙問題や喧嘩を起こしたりと少々遅れた国から来た乱暴者といった感じだった。

その分すでに小市民化していた中国人学生と違って夢は大きかった。成績からは想像できないモンゴル青年が「社長になって企業経営する」と盛んに息巻いていた。きっとこういう学生が社長になるのだろうと思った。

最初に紹介するのは、中国人のモンゴル人に対する見方が垣間見えたと思ったエピソードである。

教科書の「日本の伝統文化」の小論で、相撲の話があった。私が、中国人学生(クラス全員)に「こんなにたくさんの中国人が日本に来ているのに、どうして中国人力士がほとんどいないのか」と質問してみた。

学生たちはしばらく考えてから、「モンゴルと違って同じような格技の伝統がない」、「子供や女性の前で裸を見せることに対しよい感情を持っていない」など、ほぼ予想通りの回答をした。

もうほかにないかなと見回すと、1人の女子学生が「先生、中国人は力を競うよりも、頭を競う方が大事だと思っているからです。モンゴルの人は力を競いますが」と答えた。

モンゴル人学生が暴れたという噂などを聞いていたから妙に納得し、なるほどこれが科挙の伝統の国の人たちかと感心した。

 

👉『アジアの若者とまなび未来をつくる』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】夫の新聞の山から「たー君へ♡ ……晴香より」という便箋を発見。今日も朝帰りの夫に〈晴香さんと一緒?〉とメールした。

【注目記事】「何だ、浮気の心配なんてないのかな?」安心した途端、妻の車に仕掛けたGPSが自宅から20キロも離れた町で止まった!

 

ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp