【前回の記事を読む】日本語教師が楽しい理由。上司がいない、監視もされない、暴力的な生徒もいない。なかでも一番のやりがいは…

はしがき

なお最後の2章に日本語文法の話と日本語の現状についての私見を付け加えた。素人の独りよがりだが、私が「なるほど」と思ったことは他の方々にも役立つかもしれないと思ったのであえて掲載した。また最終章の日本語の現状についての私見は共感いただける部分も多いのではないかと思う。

というわけでこの本は、私の人生のうちのこの10年ばかりのメモワールではあるが、これから日本語教師をしてみたいが日本語学校はどんな感じかなと思っておられる方や日本語教師として文法の説明にモヤモヤするところがあるなあと思っている方などには参考になる本だと思う。

本書を刊行するにあたっては勤務先日本語学校から快く了解いただき励ましもいただいた。私のような高齢者をいつまでも雇用してくださるだけでも感謝だから、大変有難かった。

登録日本語教員になるのは年齢からいってもはや必要ないかなと思っていたが、この機会に考えを改めた。

早めに登録資格をとって日本最高齢の現役登録日本語教員を目指すのも悪くないと思っている。益々の学校の発展も祈りながらはしがきとしたい。なお本文中、人名は原則として仮名である。

 
 

序章 日本語学校就職

(1)私の日本語教育前史

自分が日本語に普通の人よりも強い関心があると意識したのは大学生の頃かもしれない。だが大学を入り直してまでその方面に進もうとは思わなかった。

それでも関心は続き、40歳の時日本語教育能力検定試験制度ができると聞いて、アルク社の通信教育を受講し、1988年の第1回の検定試験に合格した。

定年後の仕事にいいだろうと漠然と思ったからで、日常的には仕事も忙しく日本語を教えることは考えもしなかった。

その機会が訪れたのは、1995年に名古屋で勤務した時である。単身赴任のうえ仕事が比較的暇なこともあって、何かボランティアでもないかと日本語を教える団体を探すと、北区の黒川に「黒川日本語教室」という「中国残留孤児とその家族に日本語を教える」団体を見つけた。